2011年6月5日日曜日

大阪

大阪府議会の定数削減。先の統一地方選挙で過半数をとった大阪維新の会の強行採決が話題となっているが、選挙公約で掲げながら国政レベルでまったく実現できていない既成政党に比べてそのスピード感に感心した。

7年ほど前、縁あって英国の経済開発機関の仕事をしていたときに、大阪府議会から議員による視察受け入れの申し入れがあった。大手旅行代理店がアレンジしていたその視察というのは当時のブレア政権下で地方分権が進められていたスコットランドについて学びたいという趣旨だったが、当時の大阪府の財政状況を調べてみると地方分権どころではない全都道府県中断トツのワーストで、なぜそのような台所事情のときに議員がこぞって海外視察などするのだろうかと思った。

さらにその後、サミット(先進国首脳会議)が開かれていたスコットランドの町に当時の府知事がやって来た。次に日本で行われるサミットを大阪に誘致するのが目的だったのだが、個人的にはこうしたイベントが開催されることで地元の経済に持続的な効果がもたらされるとは思えず、また、知事自らがわざわざスコットランドまで足を運ぶことの効果も大いに疑問だったが、案の定、開催地は別の場所(洞爺湖)に決まった。この一件は大阪らしく、わざわざ当地まで足を運んだ知事が風邪でダウンするというオチまでついていた。

当時の状況からすると大阪府の財政が黒字化する日が来るとは想像もできなかったが、それがこうも早く達成されたのだから驚く。これは知事が首相と違って市民から直接選ばれて大きな権限をもっているからだけではく、議員や職員の抵抗にあっても強引に物事を進めたからこそ成しえたのだろう。その後ろ盾になるのはやはり民意であり、それが前回の府議会議員選挙の結果に表れた。逆に民心が離れてしまった首相や首長には反対派や抵抗勢力を押し返す力もなく、結果が出せない。

和を重んじる日本人の決定的な弱みは意思決定の遅さだろう。利害関係者やら専門家やらが集まって長い時間をかけてあれやこれやと議論をしてもなかなか結論が出ず、時間だけが無駄に過ぎていくなどということはほかの国ではあまり聞かない。世の中全員がハッピーな結論などないものと割り切って、どこかでスパッと結論を下さなければ物事は前に進まない。現首相にそれができていれば現在のような事態になることもなかったのではないかと思う。