2011年4月10日日曜日

情報統制


出張の最後に立ち寄った北京。紫禁城も万里の長城も現地のパートナーが連夜連れて行ってくれた本格的な中国料理もどれもよかったが、ホテルでブログをアップしようとして、何度やってもつながらないことに気づいた。

中国政府に問題視されるようなことを書いただろうか、いや私のブログなど問題視されるほど影響力はないはず、などとあれこれと考えていたところ、グーグルが中国を撤退していたことを思い出した。色々と試してみると検索のページやGmailはふつうに使えるのだが、同社が提供しているブログのサービスやYou Tubeはつながらなかった。知人からFacebookのメッセージが届いていたのだがこれも開けない。やはり中東の民主化デモに使われたツールだから当局が警戒しているのだろうか。

こうして前回のブログのアップが日本に帰国するまで数日遅れてしまったわけだが、同国に行ってはじめて報道でしか知ることのなかった情報統制を自ら体験することとなった。以前のブログに中東の民主化の波が中国にも波及するだろうかと書いたが、中国のパートナーいわく、それはまずないとのこと。そもそも長年情報統制下で暮らしてきた中国国民の多くは民主主義の何たるかを知らないし、むしろヒトラーのような人物が登場したら暮らし向きがよくない大多数の国民の不満のはけ口が他国へ向けられる可能性さえあるとのこと。

彼によると日本での震災後の中国国内のブログはその半数がざまあ見ろ的な内容だという。親日的な彼でさえ、「他国に攻め入ったり支配するのはいいけど一般の人たちを殺しだしたらすべてが正当性を失う。」といった。そういう彼のおじさんも日本軍の犠牲になったそうだ。北京に来ると中国のスケールの大きさを感じる。そしてとにかく人が多い。こんな国にけんかをふっかけられたらたまったものではない。

一党独裁を布いている中国の現政権が第二の天安門事件を起こさないためには国民感情に無頓着でいられるとは思えず、従って親日的な姿勢は取りづらいだろうし日本にとって都合のよい情報を積極的に流すとは考えづらい。こうした現実を踏まえてどうやってこの国と付き合っていけばいいのか。そして日本の為政者にこうした難しいかじ取りができるだろうか・・・。