2011年3月19日土曜日

危機管理

原発の事故が明るみになった当初、事態を正確に把握している様子もなく楽観的な発言を繰り返す官房長官の姿勢に危ういものを感じた。そして案じていた通り事態は日に日に悪化していった。

現在のような事態に至ってもなおCTスキャンの被曝量などといった話を持ち出して国民を安心させようとする姿勢に疑問を感じる。事態が目に見えて悪化していく状況の中で国民に知らせるべきことは、すでに起きてしまったことよりも最悪の事態に至った場合の備えだろう。そんなことをするとパニックが起きるという向きもあるが、それよりも備える時間もないままに最悪の事態を迎えるのとどちらがいいだろうか。そもそも「“ただちに”健康に影響を与えるものではない」という言い方はいかにも欺瞞ぽく、引き合いに出す医療機器がたとえ本当に安全なものであったとしても汚染地域で日常生活を送るのと比べると晒されている時間があまりにも違いすぎる。

木曜日に予定されていた某国大使館でのミーティングがキャンセルになった。大使館員からの自動返信メールには緊急事態に対応するため日常業務を停止していると書かれていたが、実際にはさっさと退避しているのかもしれない。こうした政府の発表と外国政府の対応との温度差も気になる。日本人だろうと外国人だろうと同じ人間なのだから放射性物質から受ける影響も同じはず。なのになぜ外国の政府の方が退避勧告の対象にする地域が広かったり、自国民に出国を促したりするところまであるのか。日本の政府のいうことが楽観的すぎるのか外国の政府が過剰反応をしているのか。後者であってほしいが前者の可能性も否めない。

政府のいうことを信じていない人たちが多いのか、私のまわりでは週の半ばあたりから疎開を口にする人や実際に実家のある西日本に避難する人が出て来た。東京にしか生活の基盤をもたない立場としては政府の楽観的とも思える発表が正しく、事態が収束することを願うしかない。