2011年1月23日日曜日

竹野屋


イギリスのクライアントを連れて福岡と松江に行くことになり、週末をまたぐ上に今回は奥さん連れでもあるので観光を兼ねて出雲大社近くの竹野屋旅館に泊まることにした。客人に日本の伝統的な旅館を体験させるのが大義名分だが、一人では敷居が高い老舗旅館に泊まる絶好のチャンスだ。

この旅館はあの竹内まりやの実家だ。彼女がデビューしたのは私が中学生のときだったが、その後入学した高校でAFSという国際教育交流団体の交換留学生としてアメリカに留学することになり、英語が流暢な彼女もまた同団体の派遣生であったことを知った。この団体の派遣生には広島市の秋葉市長やNHKの藤澤秀敏解説委員長などもいる。

デビュー当時の彼女はどちらかといえばアメリカの西海岸的な的なイメージだったが、同じ西海岸でも洋楽とは対極の山陰の出雲大社の近くで育ち、留学先もアメリカ中西部のイリノイ州だったというのが面白い。ちなみに彼女と私は名字が同じだ(った)が、ホームステイしていたホストファミリーの名字も同じで、留学先の町の名前もロックフォールズとロックリンでよく似ていた。

それはさておきこの竹野屋旅館、古いだけあってほかにはない雰囲気を味わうことができる。畳敷きの広いロビー(写真)の鴨居は私の身長(178センチ)でも頭をぶつけそうなくらい低く、部屋も風呂場も改修されたであろう当時(昭和40年代?)の香りがプンプンする。幼い頃に家族旅行で行った伊豆稲取の温泉旅館がこんな雰囲気だっただろうか。たださすがに料理の味はすばらしかった。

老舗旅館の多くが味気ないコンクリート造りの建物に変えている中で創業当時(130年前)の建物をそのまま残しているのは貴重な存在と思うが、内装や設備のくたびれ方が目立ち過ぎているところは若い人には敬遠されるのではないかと思う。木のぬくもりが感じられる日本家屋が好きな私でさえも、外国のお客さん連れでなければアクセスのよい市内の小ぎれいなホテルに泊まる気がする。

出雲市駅近くに新しいホテルが建ち、出雲大社への車の便がよくなってから門前町もすっかりさびれてしまったと聞くが、こうした中、この旅館が竹内まりやの知名度に頼らずともやっていかれるのか、ちょっと気になる滞在となった。