2011年1月1日土曜日

ハワイアン航空


2泊3日のハワイ旅行。何も混雑する年末の時期にわざわざ行くこともないのだが、たまっていたマイルを消化しがてら羽田の新しい国際線ターミナルを使ってみようと思いついた。当初はもう少し長く滞在しようとも思ったが、年末までに片づけなければならない仕事があったのと、ホノルルだけだとたいてい時間をもてあましてしまうことから現地2泊にとどめた。

羽田の国際線ターミナルを二言でいうなら“コンパクト”で“効率的”。真新しい出発ロビーはテレビで見るよりこじんまりとしているように感じられ、成田のように安全を見て早めに行く必要がないためか、24時間空港で飛行機が出発する時間帯がばらけているためか、旅客が時間をつぶすための施設が少なく、それでいて私が利用した夜の時間帯はそれほど混雑していなかった。そして何よりチェックインカウンターから出国審査場、さらにゲートまで歩いてすぐで、行列することもなくすんなりとたどり着くことができた。

飲食店が並ぶフロアもこじんまりとしているが、和洋食から中華まで色々と食べられ、空港内の限られた立地からか、ここぞとばかり高いことをいう店がある一方で、驚くほど良心的な値付けの店も混在しているのが面白い。多くの利用者にとっては成田に比べて移動時間も待ち時間も短いだろうから小腹が空いた程度の客にあまりアグレッシブな値付けをしてもうまくいかない気もするが、何年か後にこうした店がどのように変わっているのか見てみたい気がした。

今回利用したのはハワイアン航空。1992年にアメリカ留学中の夏休みをコナで過ごしたときにはハワイの島間航空会社はこのハワイアン航空とアロハ航空の二社体制だったが、いつしか後者が姿を消し、新興のLLCを除けばハワイアン航空の独占状態になってしまった。ホノルル空港にある島間フライトの専用ターミナルもハワイアン航空一色に変わり、時代の流れを感じた。

興味深いのは当時経営がいいといわれていたアロハ空港がなくなり、フライトの遅れや預入荷物の紛失などのトラブルが多いといわれていたハワイアン航空の方が生き残ったことだ。果たしてその後経営が変わって問題が解決されたのか、それとも経営がいい会社が必ずしも生き残るわけではないという実例なのか。いずれにしてもハワイアン航空は米本土行きのルートを着実に増やしている上に、限られた羽田の国際線のスロットまで手にしたのだから大したものだ。

アメリカの航空会社だとろくなサービスは期待できないが、今回ハワイアンに乗ってみて本土の航空会社とは明らかに一線を画す存在と思った。B767は座席の配置に余裕が感じられ、さらに愛想のよい客室乗務員のサービスも効率的で出される食事も悪くない。どちらにしてもまずい料理を選ばされる“究極の選択”よりは一つしかないメニューでも味のよいものを適量出してくれる方がいい。ハワイに住んでいたときに植えつけられた同航空会社のイメージが払しょくされた。

帰りの便の搭乗を待つホノルル空港の待合室ではハワイアン航空の地上係員がたどたどしい日本語で無邪気に乗客を呼び捨てにしたりして笑いを誘っていたが、機内で日本人客室乗務員が行うアナウンスは日本の航空会社並みの的確且つ流暢さで、若干冗長で無駄に長い挨拶が入ったりするあたりがJALからの転職組であることを伺わせた。一方でローカルの客室乗務員が醸し出すハワイアンな雰囲気は懐かしく心地よかった。

今回かなわなかったが、ハワイから羽田への便に乗るときにお勧めしたいのが向かって右側の窓側の席だ。到着時刻が夜遅いため、成田空港がある房総半島を通過した後、千葉から東京にかけての東京湾の夜景が一望できる。湾全体を見渡せるのは東側から入って来るハワイや北米からの便だけで、当然のことながら夜景が楽しめるのは夜に到着する便だけだ。