2009年11月21日土曜日

レンジシェフ

あるテレビの番組で加熱調理の時間を短縮できるというタッパーウエア状の調理器具の存在を知り、さっそく買ってみた。これがなかなかいい。火が通りにくいジャガイモなどの根菜類も効率よく温めることができるし、コンロのように火の加減に注意しておく必要がない。鍋でぐつぐつ煮込むような料理は時間がかかりがちだが、レンジで予め具材に熱を通しておけば仕上がりが早く味もよくしみ込む。焦げ目をつけたい場合はフライパンで表面を焼いておけばよい。コンロの火を使う時間が短い分、焼き過ぎたり焦がしたりする心配が少ない。

この器具を使い始めると何でも面白いように短時間でできてしまうため、自分で料理することが多くなった。最近では鍋とフライパンと組み合わせて同時並行で2品作ってみたりする。一方で出たスープをもう一方の料理に利用できたりして効率がよい。また、自分で料理を作ると自分好みの味にできるのがよい。エジプトの取引先の奥さんに教わった肉料理はニンニクと玉ねぎを使って長時間煮込むのだが、レンジを使えば相当時間が短縮され、また自分で作るのでニンニクも入れ放題だ。

既成概念にとらわれない色々な食材の使い方や調理の仕方を試すことができるのも楽しい。たとえば鶏のから揚げ。から揚げというには油で揚げなければ(ディープフライ)できないものと思いがちだが、うちで使っている油はオリーブの実を圧搾して作った貴重なオリーブ果汁そのものなので、揚げ物に使うのは何とももったいない。そこでレンジで熱を通した後の鶏肉をから揚げ粉にまぶしてオリーブオイルを敷いたフライパンで焼いてみたところ、から揚げそのものの味に仕上がり、しかも揚げるよりも肉がやわらかくジューシーになった。鶏肉を温めた際に出た汁はおいしい鶏がらスープになるので一石二鳥だ。

最近ではテレビのジタン(時間短縮)料理を参考にして新たな調理法を試したり、さらにメニューのバラエティを増やすようになっている。個人的に気に入っているのは肉料理に麩を使うこと。薄くスライスされた肉(切り落としでもよい)を買ってお麩に包んで調理すると分厚い肉と同じ触感になり、しかも味がよくしみ込んでおいしい。しかも肉の脂身のような触感なので誰も麩を使っていることに気付かない。肉の塊を使うよりも経済的なので、同じ予算でワンランク上の肉を買うことができ、しかもヘルシー。言うことなしだ。

こんなことをしているうちにふと思った。これほど食いしん坊で倹約家(ケチではない!)な私がなぜこれまで外食ばかりして自分で料理を作ろうと思わなかったのか?そして気づいた。このような便利な調理器具にめぐりあうとすぐに始めるくらいなので、自分が倹約家ぶりをも上回る相当な面倒くさがり屋であるということに。