2009年2月22日日曜日

ロンドンにて










エジプトの次はロンドンに一泊。何でも高いばかりで好んで滞在するところではないのだが、今回は乗り継ぎの都合上どうしても一泊せざるをえなかった。せっかくなので当地に赴任しているサラリーマン時代の同僚に声をかけ、一緒に食事することにした。

料理に関しては左に出る者がない国なので、何が食べたいかと聞かれるとやはりインド料理か中国料理と答えてしまいがちだが、今回は日本のチェーンと競合しているという現地の回転ずしのチェーン店をリクエストした。ちょうど滞在先のホテルの目と鼻の先のショッピングモールにあるということで、仕事を終えた元同僚と落ち合って行ってみた。ちなみに彼もイギリスに住んでいながらこのチェーンの店に行くのは初めてとのことだった。

店のつくりは日本の回転寿司店に比べて洗練されていて、客席もベルトコンベアに囲まれた“厨房”もかなり広々としていた。このチェーンが日本のすし屋にはない変わり種で人気を博しているということを日本のテレビで見て行ったみたのだが、どれも今一つぱっとしない。唯一おいしく感じたのはやはりオーソドックスな江戸前の握りだけだった。ちなみにネタに使われているサーモンは今ではノルウェーやチリで大規模に養殖されるようになり、日本の寿司屋にも広く出回っているが、国産は寄生虫がいるとかで日本ではもともと寿司ネタとして使われてなかった。私が初めて生のサーモンを食べたのはここロンドンにある寿司屋で、それ以来すっかりハマってしまった。

この回転寿司店で興味深かったのはベルトコンベアが2車線あって、それぞれが別方向に動いていることだった。これは効率的に寿司を運ぶために考えられてものと想像されるが、作り手から見て“川下”の席についたがためにほしいネタがなかなか食べられないという事態を防ぐのにも有効なようだ。ただ2車線分の場所をとるのでやはり東京あたりの回転寿司屋で採用するのは難しいかもしれない。

それにしてもこの1年でポンドが円に対して半分近くに値を下げたので、ロンドンの物価もだいぶまともに感じられるようになった。以前出張で来た時にはたいしたものも食べていないのに夕食に当時のレートで6,000円以上とられ、ホテルも一泊4万円ほどした。これではとてもプライベートで来ようという気にはならない。今回はクライアントが紹介してくれたパディントンにほど近いホテルに何と1万円未満で泊まれた。もちろん特別割引価格だが、正規の料金でも1万5千円ほどだ。雇われ人だった頃の出張は全部会社持ちだったが、自分で会社をやっている今は直接自分の懐に関わる。オーナー社長が往々にして財布の紐が固い理由がわかるようになった。

元同僚とは当然のことながら会社の話題になったが、経営状況が厳しく本国で人員削減などを始められると、海外に赴任している立場としては帰任先にポストが残っているかといった不安を感じるそうだ。私の方はエジプト滞在中から珍しく日本関連のニュースがBBCインターナショナルのヘッドラインを飾っていると思ったら、その内容が四半期GDP 3.3%下落だとか財務相が飲酒会見疑惑で辞任といったもので国の先行きが不安になる。円高でイギリスでの購買力が高まったことを喜んでいる場合ではないかもしれない。