2018年3月12日月曜日

デフレの国

アメリカに行くのは13カ月ぶりだったが、前回は人の家に滞在し、外食をすることもなかったので、自腹であれこれするのはおよそ10年ぶりと気づいた。そして何もかもが日本に比べても高いことにも。長年行っていなかったシンガポールにいったときのことを思い出した。インフレは年に2%であっても20年経てば40%になる。つまり日本が20年間デフレの状態が続けば、ほかの条件が一定であってもアメリカのように平均2%のインフレが続いた国の物価は4割以上高くなっていることになる。実際にスーパーで買い物をしたり外食をすると総じて日本よりも5割くらい価格が高いように感じた。日本ほど長く経済が低迷してきた国は少ないので、かつては「高い」といわれていた我が国を外国からの観光客が大勢訪れるようになったのもうなづける。それだけ日本人の購買力は落ちていて、海外に行ってもお土産以外に積極的に買い物をする気にならない。「異次元の金融緩和」などとはしゃいでいた我が国の中央銀行総裁はインフレ目標未達のまま任期を終えそうな様子。この間に金融機関の収益力は落ち、日本の金融システム自体の先行きが不透明になっているのだから、責任をとってせめて退職金くらいは返上してもらいたいものだが、「インフレ目標に近づいている」などと強弁しているようではそれも見込めない。金融緩和策の出口は未だ見えてこず、日本人の購買力は今後ますます落ちそうで、デフレ国の悲哀を感じる。