2017年2月19日日曜日

食い逃げ

昨年の6月、それまで9年間にわたってパートタイムでやっていた北アイルランドの経済開発機関との契約が終了した。契約関係が終了したのを受け、セミナーの開催等、契約外の業務で発生した超過労働分の精算を求めたところ、発生時に請求がなかったので支払えないとの回答が来た。それまで「現在の契約では支払えないので次の契約で予算を増やすまで待ってほしい」と先延ばしし、さらにその契約を他の業者に与えながら、請求遅れを理由に精算を拒むという悪質さで、仮にもイギリスという先進国(北アイルランドがその中でいかに後進地域であろうとも)のジェトロに当たる機関が公然と『食い逃げ』行為をすることに少なからずショックを受けた。ところが10年以上前にフルタイムでこの組織の仕事をしていた人物によると、彼の在任中も日本人の女性職員を契約に定められた補償金を支払わずに解雇し、この女性が弁護士に依頼して督促状を出してようやく決着したというから完全な「前科者」だ。今回は金額が小さくなく、こちらが裁判にかかるコストを嫌って値引き交渉に応じると思ったらしく、今後この件について誰にも口外しないことを条件に和解交渉することを提案してきた。つまり自分たちが世間に知られては困ることをやっている自覚はあるようだ。こちらはそのような不合理な要求を受け入れる気はなく、値引きする理由もないので、お金は残らなくても裁判で決着をつけて彼らにしっかり恥をかいてもらうつもりだが、たいていの人は多少でもお金を回収できればとこうした不合理な要求でも受け入れてしまうものと想像する。司法は悪を懲らしめるためにあると思いたいが、救いを求めるためのハードルは意外に高いことを知る一件となった。