2010年12月19日日曜日

地方グルメ


2泊3日の西日本出張。初日に宿泊した福岡は雪がちらつく寒さにめげず、当地出身の友人に勧められたすしバーに行った。あえてすしバーといったのは最近当地で流行っているというこの店が何とアメリカ・テキサス州のダラスにある店の支店だからだ。広々として洗練された内装の店内には大きなシャンパンのボトルが並べられていて、一人ではめったに飲まない私が無性に飲みたくなった。当地のネタのよさがなせるわざか寿司も実においしく、しばし幸せな気分に浸った。

すしで十分お腹いっぱいになったが、この店が昔友人に連れて行ってもらった長浜ラーメンの店の近くだったのでシメ?に寄ることにした。以前 “元祖”を謳った店名をめぐって訴訟沙汰になっていると新聞で読んだ気がするが、同じような名前の店が二つあり、記憶にあった方に入った。友人と初めて来たときは豚骨ラーメン自体食べるのが初めてだったので濃厚な豚骨スープと歯ごたえのある細麺がとてもおいしく感じられたが、今回は正直なところイマイチというか、当地出身の人に教わった東京にある豚骨ラーメンの方が上に感じられた。

2日目は岡山。同僚と合流して一緒に夕飯を食べることにしたのだが、当地の名物料理が思いつかない…。私の祖母が岡山の人で(池田藩の祐筆の家の出と聞く)、子どものときにはお土産に吉備団子を買ってきてもらったが、さすがに団子では食事にならない。私自身は当地には観光で一度来たことしかなく、名物料理なるものも聞いたことがなかった。岡山駅の周辺にはチェーン店しか見当たらず、同僚も何ら思いつかないということだったので寒い中当てもなく探し回るのはやめ、駅ビルの中にある韓国料理のチェーン店で済ませた。

3日目は広島で、帰りの新幹線に乗る前に駅ビルにある有名お好み焼き店に入った。今が旬のカキとそばが入ったお好み焼きを頼んだのだが、出て来たものの水っぽさと焼き具合のいい加減さ、さらには麺のまずさに閉口した。それでいてボリュームだけはあったためお腹はふくれたのだが、同僚とどこかで“口直し”をせずにはいられないということで一致した。わざわざ広島まで来て食べたお好み焼きが東京にある店よりもまずいなどまったくもって不本意だったが、そもそも有名店というだけで行ってしまう安易な発想が間違っていたようだ。

思えば以前もまったく同じ経験をし、このブログにも書いた。名古屋の有名味噌煮込みうどん屋だ。本店が人気が出たことで我々のような出張者が利用しやすい駅に隣接したところに支店を出し、味噌煮込みうどんとは思えない強気の値付けをしているパターンまでまったく同じだった。このときは地元の人しかいない近くの別の店でずっとおいしく、ずっと安い味噌煮込みうどんを食べて事なき?を得たが、今回も空いている隣の飲み屋で口直しで食べたお好み焼きの方がよほどおいしく、さらには焼きガキや牛すじの煮込みまで食べて満足して帰ることができた。

それにしてもこうした地方の有名店はなぜ人気が出た途端、拡大志向に走ってしまうのだろうか。値段が上がり味が落ちれば地元の人は足を運ばなくなり、何も知らない我々のようなよそ者だけが行くようになる。それでも商売としてはいいのかもしれないが、こちらは騙されたような気になる(実際には自己責任だが)。今後は出張先で地元の有名店に行く前に直近の評判はどうか、チェーン化して町の中心駅の近くに支店を出していないかなどといったことを確認してから行くようにしたい。