2009年8月1日土曜日

デフレ時代

一ヶ月ほど前、事務所の近くのインド料理屋の前を通りかかるとランチ680円の看板がかかっていた。もとは850円だった。それからしばらくして行きつけの中国料理屋に行くと1050円だったランチの定食がいつの間にか950円に下がっていた。私の好物の鴨肉チャーハンも1200円が1050円になっていた。注文してみると味も盛りつけも以前と変わらない。むしろ鴨肉の量が増えた気がする。

円高で輸入食材が下がったのはかなり前の話。やはり不景気で客の入りが減り、値下げを余儀なくされたものと思われる。一般の飲食店でこれほど値下げが目につくのはバブル崩壊後の景気低迷期にも見られなかったことで、最近よく「これまでの不景気とは違う」ということばが聞かれるのもうなづける。

新宿の大手デパートに勤める知人によると所得の二極化がいわれていた頃に売れていた高級品も売れなくなり、比較的お金があるはずの中高年層もますます価格に敏感になっているという。一方、円高・ウォン安のメリットを最大限に享受できる韓国のデパートは日本人観光客であふれかえっている。

企業はどうかといえば、今年加入した商工会議所のイベントに出るとサービスを売りたい企業ばかりが集まって、肝心の買い手がいない。名刺交換をした企業から熱心な売り込みをされると、うちのような零細企業を相手にしなければならないほど困っているのだろうかと思う。特に不要不急のサービスを提供している企業はたいへんなようだ。

株価の動向を見る限り新興国の多くは再び成長起動に戻りつつあるように見える。こうした国々への輸出が回復すれば景気も上向くのかも知れないが、いったん価格に敏感になってしまった消費者が再び財布のひもを緩めることはあるのだろうか。今年はいよいよGDPで中国に抜かれるそうだが、内需の差はますます広がりそうだ。