2009年7月4日土曜日

大崎

元同僚たちとの久しぶりの飲み会。場所はかつて本社があった大崎。職住接近となった今は山手線で渋谷より先(品川方面)に行くことはめったになくなり、メーカー勤めをしていた頃に毎朝通っていたところに行くのがちょっとした遠出に感じる。

それにしても大崎の変貌ぶりには驚く。私が入社した頃には山手線で一、二を争うショボい駅だったのが今は臨海線だの湘南ライナーだのが停まる立派な駅になっている。周辺も再開発が進み、私が入社して間もなく建てられたニュー・シティと呼ばれる駅ビルも近代的な高層ビルに囲まれてすっかり“オールド・シティ”の様相を呈している。

元同僚との飲み会では当然のことながら会社で起きていることや元同僚たちのこと、経営陣のことなどが話題となる。会社を辞めてから時間が経てば経つほど社内の話題にもついていかれなくなるものだが、元同僚の大半は会社に残っており、まだ辛うじて話についていかれる。

我が古巣の電機メーカーは元同僚の一人が“土砂降り”と評する厳しい経営状況だが、近所の商店街にあるソニーショップで薄型テレビやDVDデッキが大安売りされているのを見るとその深刻さが察せられる。社内のムードも停滞気味らしく、元同僚からは「やめられるものならやめたい」といった本音もこぼれる。しかし新卒で大企業に正社員として雇われた立場は雇用の安定性の面でも報酬の面でもかなり恵まれているので定年を待たずに辞めてしまうのはもったいない気がする。特に私と同年代であればあと20年の辛抱ではないか。

話題はさらに芝浦に建った新しい本社ビルに及んだ。昔から立派な本社ビルを建てたメーカーは経営が傾くといわれ、同業の電機メーカーも同じ憂き目に あっているのにこの本社ビルはかなり立派なものらしい。館内には業績発表などで使われる大きなホールに加え、いかにもエネルギーを消費しそうなエレベー ター、さらにショッピングモールでもなかろうにほとんど誰も乗っていないエスカレーターが一日中動いているという。「あんなところにいたらドーパミンが大 量に分泌されて危機感など持ちようがない」のだそうだ…。

こうした株主にとってありがたくない話を含めて同社のやることは経済状況が変わっても、経営環境が変わっても、業界の勢力図が変わっても、私がいた当時とあまり変わっていないように感じられる。同社の変わらなさは大崎の発展ぶりとは対照的だが、思い出の場所で昔の同僚たちと会うのはいつも変わらず楽しいものだ。