2017年4月8日土曜日

東芝

証券会社時代同社を担当していた私は企業体質を知らなかったわけではない。ではなぜ退社した後にN証券の人に勧められるままに同社の株を買ってしまったのか。(N証券の体質を知らないわけでもなかった。)ただ、ウェスティングハウスの買収は株を買った後に起き、不正会計問題など予見できなかった。3000億円で買ったブラジルのビール会社を770億円でハイネケンに売却したキリンビールといい、シェールガスで同じく数千億円単位の減損損失を出した日本の大手商社といい、日本企業の高値掴みのババ引きは相変わらずのようだ。そもそもそれほど魅力的な投資対象がアメリカやブラジルにあれば、日本企業より動きが速い欧米の企業がとっくに手をつけているだろう。それをやらなかったのは投資額に見合うリターンが見込めなかったからだ(エネルギー業界の関係者によると欧米の企業は原油価格の下落をとっくの昔に予想していたそうだ)。売れ残りを高く買い、それを適正価格で欧米の企業に売り渡すはめになるおめでたい日本企業だが、気の毒なのはそこで働いている社員たちだ。特にメーカーは一生懸命開発した商品を厳しい競争の中で売ってコツコツと稼ぐわけだが、愚かな経営判断で全社員の何年分もの稼ぎが一夜にして失われたら、どれだけやる気を失うことだろう。